龍王岳南稜を目指し9月1日の夕刻、末政さん・西田さん・近藤の3名は神戸を出発する。立山駅前の駐車地で仮眠後、9月2日朝一番のケーブルカー・高原バスを乗り継ぎ室堂バスターミナルに8時15分降り立つ。台風一過の快晴とは・・言えないまでも初秋の陽射しに恵まれた中、一の越山荘、富山大学研究所を経て龍王岳南稜に廻り込むコースを進む。

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五色ヶ原方面へ下る一般道を途中から外れ踏み跡のある南面の中腹をトラバース、D・Cリッジの中間ぐらい?で、高さは下の取り付きからだと2ピッチ目辺り?のビレーができるポイントに10時過ぎに到着した。

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クライミング装備装着後の10時半に登攀開始、ルートはCリッジもしくはCリッジのバリエーションで、途中チムニーやナイフリッジもあった。ここから4ピッチと頂上前のコンテ20Mほどで山頂に13時半に辿り着いた。

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各ピッチ浮石や脆く危うい岩が多く、残置ボルトは全ピッチ合わせても数カ所のみだった。末政さんによると、ヨーロッパの山はこんなもんですよとルートファインディングを楽しんでいるようだった。

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山頂で軽い昼食を終えた2時頃、天気予報通りに山麓から濃霧が覆い始めた。ガスと共にちょっとひんやりした風も吹き上げてきたので、帰路は爽快な気分で室堂へ歩を進めることができた。
朝方の往路では浄土山南陵から劔や槍の雄姿も眺望でき、帰路は浄土山北稜で散歩中の雷鳥にも何回も出会うことができた。そんなビギナーズ・ラック?なクライミング日和の一日を終えて、その日のうちに無事に帰神することができました。

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今回の龍王岳登攀で実地にて学んだ貴重な経験や改めて認識したことを書き留めます。

1)登攀者ブラインドへの対応
リッジやリッジからでた側壁が邪魔してリードの末政さんが10Mも登ると見えなくなることが多かった。ビレーヤはロープの張り弛み具合でリードの状況状態を適切に予見できる技量が必須と痛感した。
2)岩なだれ誘発の予知
浮き石が多くまた大きな岩も絶妙なバランスでその位置に留まっている。小さい落石一つでルンゼ全体に石や岩の表層なだれがいとも簡単に起こる。そんな岩なだれに備えて、ビレーヤの立ち位置やロープの纏め場所に細心の注意を払うリスク予知の啓発を実感した。
3)続くクライマーへの配慮
脆く危うい岩も多く、岩の状態を確認しながら慎重且つ丁寧に登った。特にフリクションをかけるムーブの時は予期せぬ落石を考え、続くクライマーに必ず声掛けをして安全に配慮した。

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最後に、山の怖さも楽しさも再認識させてくれた龍王岳登攀の計画してくださった末政さん、いつも初心者の私達をサポートしてくださっているクラブ雲峰の皆さま方に心から感謝いたします。